サケは偉大だ!!

2010/10/25
 ♪ここでいっしょに 死ねたらいいと~。昔、よく歌った山本譲二のヒット曲を口ずさみながら遠路、みちのく岩手へやってきた。いつもお世話になっているクマさんが期間限定で開催するサーモンスイムを体験するためだ。写真集などで見て、いつかはサケの遡上を自分の目で確かめたいと思い続けていたのだが、ついに実現。「よ~し、かっちょいい写真を撮るぞ~!!」と勇んで臨んだのだが、いろんな意味で現実は厳しい…と痛感したのだった。

 まずは河口付近へ。クマさんのブリーフィングを頭に入れて、いざ川の中へ。一歩、水の中へ踏み出したのだが、あまりの水の冷たさに後ずさりしてしまった。ダイコンの表示は15度だが、海水と川水とでは感じる冷たさが全然違う。ここは厳しい東北。5ミリウエットにベストフードという軽装でやれると思ったほうが間違いだった…。そうつぶやいたが、いまさら後悔しても始まらない。グッと冷たさをこらえて川の中へ。警戒するサケが逃げないよう、カメラを固定したまま、主役の登場を待った。


 数分後、ファインダーの中に主役が入ってきた。体の模様からオスだ。力強さを示す大きなこぶが特徴だ。クリクリした目がこちらを警戒していることを示していた。「少しでも動いたら逃げる」。山から水が流れる河口方向に体を向けているから、流されないように両足で踏ん張らないといけない。なかなかしんどい体勢だが、水を体に受けながらシャッターを切った。数分後にはメスも登場。こちらを威嚇するようににらんでいる。その力強さはファインダー越しでも伝わってくる。


 河口付近で陸上から海を眺めてみる。多くのサケたちが泳いでいた。海水モードの体を川水モードへと変えるため、数日間が必要という。沖からの波に乗って、サケたちが川へと突進してくる。まるでサーフィンをしているようだ。厳しい海の世界で数年間を生き抜いてきた。そして、子孫を残すために故郷の川へと帰ってくるのだ。川水になじんだサケたちは川の流れに逆らって前進していく。体を傷つけながら、ひたすら前だけを見つめている。そんな力強い光景を見ていると、胸の中がグッと熱くなる。気づけば「頑張れ」と応援していた。


岩手県内では、いろんなところでサケの遡上を見ることができる。最終日には大きな川でスイム。河口付近とは違って、山からの水の流れはとても速い。上から見ていると、サケが泳いでいるのが見えた。海から100キロ以上も数日間をかけて遡上してきたのだ。厳しい流れに耐え抜いてきて故郷まで戻ってきたのだから、河口付近のサケと比べれば、大きさも迫力も、そして力強さも違う。ここでの狙いは産卵。メスが尾びれを使って掘った穴の周辺でペアが繁殖行動をする。

 河口付近と違い、川の流れがめちゃくちゃ速い。カメラを固定するだけで苦しい。さらに水が冷たい…。だが「岩になれ」という言葉を頭の中で繰り返し、耐えた。すると、太もも付近で何かが当たる感覚が…。だが、振り返ることはできない。後で聞くと「サケがつついていた」という。自分が危険な生きものでないか、動かないものかどうか確認しているのだそうだ。結局、ギブアップして陸上に上がった。「あと数分間、我慢すれば撮れていたのに…」。クマさんたちの言葉を聞いて、悔しさをかみしめたのだった。


 午後は場所を変えてのラストスイム。今回はひざをついた状態で狙った。数匹のサケが遡上している場所で、シャッターを切った。遠くで陽が落ち始め、残り時間が刻々と迫る中、水面上から背びれを頼りにシャッターを切った。なんとか、陽光を浴びながら遡上する数匹のサケを収めることができた。なんとなく雰囲気は伝わるかな??

 今年は水温が例年に比べて高いため、サケの数が少ないという。だが、徐々に冷え込んでくるにつれて、サケの遡上も本格化してくるだろう。準備不足、予習不足の今回、自分が思い描いていた写真は収められなかったが、厳しい自然界の中で生き抜いてきたサケの偉大さを目に焼きつけることはできた。それだけでも収穫だったと思える。次回はサケに負けないよう、自然界の厳しさにも勝てるよう、しっかり準備してリベンジしたい。広大な地に沈む夕陽を見つめながら、そう誓ったのだった。


9 コメント:

四八式潜水機 さんのコメント...

おつかれさまです。
私の時より鮭は多そうですが、
過酷な撮影状況は似た感じですね・・・

今回は横チンさんと同じく鮭の偉大さ、
それと上手く付き合う漁師の知恵を勉強させてもらった気がします。
また次の機会に再挑戦したいものです。

横チン さんのコメント...

四八式潜水機さん
たぶん、サケの数は同じぐらいだったと思いますよ。水温上昇の影響は岩手だけでなく、全国的に出ているみたいですね…。上流付近の川のサケを見れば、余計にサケの偉大さが伝わってきます。それに、思い通りの写真が撮れなかったし、リベンジしなければ…。タイに続いて、何度でもリピートしたい地が増えました。

ぶーみん さんのコメント...

来年は防寒対策を万全にして臨んでください。(笑)
私が着てたドライのインナー、
流氷ダイビングにも対応できる優れものですよ~♪

私も同様に要リベンジです!
鮭父ちゃんに、根性は1番あったと褒めてはいただいたのですが
やっぱりカメラにおさめたいですもんね・・・

Lapin de mer さんのコメント...

川は流れもあるし水温15度でも もっともっと冷たく感じるでしょうね。流れに負けないように足で踏ん張って。岩のように動かず。。。ますます 自分も経験したくなりました。過酷な 条件だと 俄然やる気の出る自分だったりします。ますます 岩手に行きたくなりました!

横チン さんのコメント...

ぶーみんさん
今回の失敗の最大の要因は防寒対策でした…。東北の寒さをナメていましたね。5ミリウエット、ベストフードで、体は我慢できても、顔だけはダメでした…。今度はお父さんをうならせるような写真を撮れるようにしたいですね。

Lapin de merさん
最終日に入った川は水温15度以下だったかも…。サーモンスイムは難しいですよ。条件が厳しいから、負けじ魂が生まれます。ぜひ、来年は岩手へ!!

Shing さんのコメント...

15度以下ですか...。
タオの半分以下ですね。
ホント、見てるだけで寒さが伝わります。
これでも、温暖化ならば、何度くらいがベストなんですかね?
横チンさんが防寒以外で難しかった点をあげるとすれば、どこですか?
挑戦した時の参考したいです。
よろしくお願いします。

横チン さんのコメント...

Shingくん
水温はやっぱり1ケタじゃないとダメなんじゃないかな。とにもかくにも、まずは完全防寒することかな。特に、顔に水をつけた時の冷たさはハンパじゃないから。あとは流れでカメラを持っていかれるので、長時間粘るだけの根気、体力が必要だと思う。あとは腕だと思います。

Big Blue スタッフ さんのコメント...

プロダイバーとは言え、温たい水温に慣れているBBスタッフは低水温に弱いです・・・
あっ、クマちゃんを除いてね。(笑)
でも、鮭の生命のドラマを目の当たりにしたら、寒さなんかぶっ飛ぶことでしょう。
来根は是非行きたいと思ってます。

Take4

横チン さんのコメント...

タケシさん
サケ遡上を撮影するポイントは、冷たい水にどこまで耐えられるかに尽きますね。この難関さえクリアできれば、いい絵を撮れるはずです。今回の僕の失敗は防寒対策をしっかりして岩手入りしなかったことです。完全防備のスタイルで川に入って、岩のようにジッと動かなければ…。次回にリベンジです。

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