守るべきルール。

2010/06/27

 上の2枚の写真、どちらが正解??答えは①。オキナワベニハゼという魚なのだが、ノンダイバーなら「②じゃないの?①は上下が逆さまじゃないの??」という意見が飛び出すかもしれない。もちろん、ダイバーなら、①が正解だと分かるだろう。今月中旬にマクロワールドで有名な高知・柏島で潜ってきた。撮ってきた写真を整理していて、こういった逆さま状態の生きものが多いことをあらためて認識した。
 オキナワベニハゼと同様、岩場の奥に生息するフトスジイレズミハゼ。この写真はあえて斜めからシャッターを切っているわけではない。きっちりと両ひざをつけてカメラを水平にして撮ったものだ。岩場に棲んでいる生きものは、このように体を逆さまや斜めにして歩いたり、休憩しているシーンを多く見る。深場に行くと、たとえばハナゴンベなどの魚がおなかを上にして(仰向けになって?)泳いでいる。死んでいるのかと思ったほどだ。
 チャバ会写真部の部員はもちろん、ほかの皆さんも撮ってきた写真を加工したりすることは多いはず。トリミングしたり、うねりなどの影響で写り込んでしまった砂などをレタッチブラシで消したりすることはあるだろう。まあ、人によってそれぞれだと思うが、僕の場合、絶対に天地を逆さまにしたり、反転したりすることは絶対にNG、いやタブーだ。まあ、書くまでもなく当たり前のことなのだが、これが意外と平気で破られていることが多い。
 たとえば、このフシウデサンゴモエビ。サンゴに足をへばりつけて歩いているシーンだ。カッコよく見せるために、天地を逆さまにしたり、反時計まわりに90度回転させたりしたいところだが、ノンダイバーにも正確な事実を伝えるためには、絶対に手を加えてはいけない。某有名ダイビング雑誌などで、どう見ても天地が逆さまだったり、数枚の写真が同じ雑誌の中で反転させて使われているのを発見したこともある。「プライドあるのか!!」とガックリきた。
 人間が見れば、おかしいと思う光景も、海の生きものにしてみれば、普通なのだ。事実を曲げることはやってはいけないこと。ムービーだったら、まず無理だろう。だからといって、写真はできるから…というのはダメだ。何か意図があっての行為なら、分かるのだが…。
 事実を真正面から見れば、生きものの行動を探ることができる。このエナガカエルアンコウはサンゴの上にへばりついている。足のような右ひれで下の貝殻を押さえていいるのが分かる。

 ウミトサカの中で隠れるように擬態化しているイソコンペイトウガニ。この場合、下からあおるようにして撮っているので、頭頂部が下に来ている。もし、目を上にした写真がほしければ、逆方向に移動したり、上からのぞきこむようにして撮ればいい。
 このジャパニーズピグミーシーホースも、シッポを海藻などに巻きつけていて、体を上下左右にクネクネさせて動かしている。だから、写真のように、頭を下にしながらのぞき込んでいることもある。
 上の写真はマクロばかりだが、ワイド写真でもしかりだ。陸上の写真でも、青空が背景にあるビルの写真が天地逆さまだったら、明らかにおかしい。海の中でも同じだ。ダイバーはもちろん、これからダイバーになろうとしている人に正確な情報を伝えるためにも、このルールは守っていきたい。

8 コメント:

Big Blue さんのコメント...

またまた熱い(!?)書き込みですね。
横チンさんの言っている事、僕も解ります。

そして、横チンさんも書いてますが、
『何か意図があっての行為なら分かる・・・』
というのも解ります。

というか、それこそが、僕の思うところで、
凄いインパクトがある作品に出会い、これ、どうやって撮ったの?
って聞いた時に、これは敢えて天地逆さまにしているのだよ、
っていうコメントがあっても良いと思います。

よく考えてみると、僕の場合も、そもそもカメラを水平(もしくは直角)に
構えていないこともとても多いです。
例えば、魚の群れは、ちょっと角度をつけると動きや迫力が出ますし、
動きを表現しようとスローシャッターでカメラを振り回して撮る事もあります。

僕なりの線引きは、
図鑑写真や、生態写真として、事実を伝える必要のある報道的な水中写真と、
自分の感性が感じた世界を表現する手段としてのアート作品的な水中写真と、
この両方が存在していいと思っています。

前者の場合、天地逆転や、鏡像や、極端な修正は無しでしょう。

後者の場合、作者の意図する作品作りのための題材として
水中写真がいろんな撮られ方、使われ方をして良いと思います。

というか、このふたつの融合ができたら良いなぁ、って思ってます。
その被写体の生態を語るに十分な説得力とアートを兼ね揃えた1枚・・・。
そんなことを考えながら、日々、カメラを手に水底を彷徨っているのです。

皆さんはどう思いますか?

TK4

JUN さんのコメント...
このコメントは投稿者によって削除されました。
JUN さんのコメント...

写真のジャパピグの色すごい綺麗ですね!
真っ赤??
ジャパピグって、茶色っぽいイメージだったので・・
こんな色のジャパピグもいるんですねー!
エナガカエルアンコウの色もこれまたすごい赤ですねー!
いずれも見たことなくてうらやましいです!さすが柏島。

横チンさんのおっしゃる通り、あまりにも現実と乖離した写真は見る人に誤解を生んでしまうかもしれないのですねー。ぼく、あまり意識したことなかったので勉強になります。。
でも程度が難しいんですよねぇ、、

たとえば写真にある、イソコンペイトウガニ。
昼間の場合とくに、トサカの奥深くにいってしまって、
そもそも観察できるチャンスってぜんぜんなくないですか?

柏島ではわからないですが、ぼくが今まで見せてもらったイソコンペイトウガニは、ナイトダイビングの場合を除き、ほとんどがガイドさんが指示棒などで、トサカの奥から少し出してもらって見せてもらうっていうケースが多い気がしてます。

厳密には「それってありなの?」という気になったりもしますし・・
まぁ、ありがたく写真は撮るわけですが・・苦笑

その辺は、そのガイドさんのモラルとかダイバーのモラルとかそのダイビングポイント全体の
モラルによるのかもしれませんね。

なんか、キリがないのであまり考えないようにしていましたが、
横チンさんの熱い記事を読んで、また少し考えさせられました!

ありがとうございます☆

Shing さんのコメント...

あらら、これってボクのオレンジリーフゴビーの事ですかね?
本人は、悪戦苦闘しながら無理な体勢で撮影していたので、後から反転したという自覚は全く無いですが、勉強になりました。
しかしながら、海の中は非日常、いろんな見方や撮り方があっても構わないと個人的には思ってます。
究極言ってしまうと、レンズでデフォルメする行為やストロボなどの人工光を使って、色を出すのも??と考えてしまいそう。。。
もちろん、図鑑に出てくるような生態写真は、このルールを守るべきだとは思いますが、難しい問題です。
横チンさんは、しっかりとしたポリシーがあって素敵ですね。
自分にない部分なので、余計に考えさせられました。

四八式潜水機 さんのコメント...

こんばんは。とても深い話でこういう議論も有意義ですね・・・

後ろ向きのジャパピグってよくありがちで、
自分もこういう向きの写真が多いと感じます。
ただ無理にカメラに向けようとプレッシャーかけすぎると、
ついてる場所から離れて行ってしまうという話もよく聞きます。
それもどうかと思いますよね・・・

皆さんお話されているように、
画像加工から光の当てる当てない、写真のために生物を動かすといった事に、
賛否や議論はあると思います。
自分の場合、そういった事を突き詰めると極論中の極論は
『ヒトは海に潜るべきではない。』
に行き着いてしまうのですが、現実流石にそれは出来ん訳で、
そんな中で潜るダイバーはやはり謙虚でありたいと思います・・・

普段の生活では出逢う事のない海の生き物達の一生懸命生きてる姿を、
お邪魔しない程度でご縁があればパチリと切り取って、
素敵な生態写真や作品に出来れば。と行きたいところです。

と言いつつ、
ジンベイに出逢ったら興奮して突っ込んで行きがちなんですけど・・・
申し訳ありません。


横チンさん、硬派な問題提起ありがとうございました。

ぶーみん さんのコメント...

TAKESHI顧問がコメントされてるように、図鑑の写真や
研究論文に使用するような写真の場合にはタブーはあると思いますが、
それ以外の“作品”としての写真にはルールなんてないと私は思っています。

それは私が写真を絵を描くのと同じように思っているからかもしれません。
自由でよいと思います。
すべて個性だと思うからです。

逆に、私が心がけているのは、見る人(ダイバーに限らない)にとって
その写真が心地よく見てもらえるものになっているかどうか?です。
例え生態的に天地が正しい写真であっても、
そこに写っている生物がどのようなものなのか判りづらかったり
しっくりこないバランスであれば、違和感なく見てもらえるようにした方がよいと思うのです。
以前カオラックで撮ったワイドのカエルアンコウをアップしましたが
敢えて90度回転をさせました。
それはカエルアンコウを知らない人が逆さに写ったカエルアンコウを見て
どんな生物なのか、とても判りづらいだろうと思ったからです。

これが撮影者の“意図”なのかもしれませんが、
私はプロでも何でもない、一人の写真好きなファンダイバーでしかないので
そんな素人の意見としてコメントさせていただきました。

横チン さんのコメント...

 僕なりに抱いている基本的な定義を知ってほしくて書いたブログでしたが、みなさんもさまざまな意見をもっているんですねえ。考え方は人それぞれであるから、意見が一致しないのは当然だと思います。みなさんが言われていることも、よく理解できます。
 みなさんの意見を聞いたうえで、あらためて言いたいこと。僕は海の中の生きものの行動を正しく写真の中に入れたいということなんです。たとえば、冒頭のオキナワベニハゼは基本的には逆さまの状態でいるんだよ、ということを伝えたいから、見たまんまをストレートに撮影しています。エナガカエルアンコウなんかも、こういうふうに逆さまに動くこともあるんだよ、ということを伝えたいからなんです。タケシさんのいう「事実を伝える必要のある報道的な水中写真」です。マクロ写真のケースだと、僕は特にこだわっています。
 もちろん、タケシさんも言っているように、ワイド写真の時、群れの迫力を強調するために、斜めから撮ったり、下からあおって撮ったり、カメラを回転させたりもします。僕もよくやります。でも、この場合、僕が言う「天地を逆にするのはNG」という定義には当てはまりません。
 あらためて強調しますが、天地逆さまを全否定しているわけではありません。「何か意図があっての行為ならアリ」なんですよ。たとえば、上の写真のフトスジイレズミハゼの左隣にケヤリがありますが、このケヤリが右隣にもあって、後方にもあったら、180度回転させているでしょう。そのほうが、まるで、お花畑の中にいるような芸術的な写真が出来上がりますからね。いわゆる「絵になっている写真」は、こういうのが多いかもしれません。
 まあ、なんだかんだ言っても、絶対に1つの答えにはたどり着かないでしょうね。永遠のテーマですから。写真には、撮った人の性格が出ます。僕はウソが嫌いだし、新聞の世界で生きてきて「ストレートに正しく、目の前にあるものを伝える」という習慣が身についています。頭が硬いのかな??まあ、あまり僕を責めないでくださいね。今度、酒でも交わしながら、楽しくワイワイ議論しましょう。

P.S シンゴくんへ。反転とは表裏を逆にすることです。回転とはまったく意味が違います。それに、別にあの写真を否定なんかしていませんよ~。

Shing さんのコメント...

こういう議論は、ブログを見て頂いている方にも、惹きが良さそうですね。アクセス数も上がってきた気が...(笑)

>今度、酒でも交わしながら、楽しくワイワイ議論しましょう。
みな家がバラバラですが、機会を作って飲みたいものですね。

回転の意味で反転と、書いてしまってました。
すみません〜。

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